行政書士について調べると、「扱う書類は1万種類以上」といった説明を目にします。それだけ選択肢があるなら、一度全体を見てから、自分が扱う業務を考えたいところです。
ところが、その一覧をどこで見られるのかが分かりにくい。検索して出てくるのは、建設業許可、在留資格、自動車、相続など、おなじみの分野が中心です。
そこで今回は、実際に存在する行政手続のデータから、取扱業務の候補を逆に探してみました。 使ったのはデジタル庁の公開データです。手続名と一緒に、件数やオンライン化状況を見ると、次に何を調べるか考えやすくなります。
この記事では、その探し方とデータの見方を紹介します。後半では、約7.6万件の元データから条件を絞り、合計5,400件超を整理したExcel資料も紹介します。
行政書士の仕事は「1万種類以上」と言われるけれど
日本行政書士会連合会は、官公署に提出する書類の作成等を説明する中で、その書類の数について「1万種類を超えるとも言われます」と紹介しています。日本行政書士会連合会「行政書士の業務」
ここでいう数字は、扱う書類の種類についての表現です。「独立した仕事が正確に1万種類あり、それぞれ依頼を受けられる」という件数表ではありません。
それでも、開業する側としては「具体的にどんな選択肢があるのか」を知りたくなります。
私も以前、行政書士の業務一覧のような資料や書籍を探しました。ただ、見つかったものは刊行から時間がたっていたり、絶版だったり、中古価格が高かったりして、全体像をつかむために気軽に読めるものを探すのに苦労しました。
個別業務を詳しく勉強する前に、まず候補を広く眺めたい。その段階で使える資料が欲しかったのです。
よく知られた行政書士業務から選ぶ方法もある
取扱業務を考えるとき、代表的な分野を入口にする方法はあります。建設業などの許認可、在留資格関係、自動車関係、相続・遺言、法人設立や営業許可などです。日行連の業務分野案内
これまで勤めていた業界に関係する分野や、関心を持って調べ続けられそうな分野があれば、そこから候補を探せます。
ただ、代表的な業務名から調べると、候補もその範囲に集まりやすくなります。同じ業界の中にどんな申請や届出があるのか、ほかの分野にはどんな手続があるのかまで、一度に比較するのは難しいところです。
候補をもう少し広げたいときに使えるのが、行政手続の側から見る方法です。
行政手続の側から逆に探してみる
デジタル庁の公開データを入口にする
デジタル庁の行政手続等の棚卸調査結果等では、調査結果のExcelと項目の解説が公開されています。今回使ったのは、このページにある令和7年度「行政手続等の棚卸調査結果」をもとにしたデータです。
令和7年度版の抽出元は、76,275件(約7.6万件)の行政手続データです。今回の商品は、この母集団から条件に合う手続を抽出して整理しています。
この約7.6万件は、行政手続データの母集団です。行政書士が受任できる業務の数でも、後で紹介する商品Excelの収録件数でもありません。
手続名、所管府省庁、根拠法令、年間手続件数、オンライン化の実施状況、関連士業などを一緒に見られます。オンラインの件数と総数が分かる手続では、オンライン利用率も計算できます。
資料を作る際には行政手続MCPという分析ツールも利用しています。今回は令和7年度調査のデータで抽出・整理し直しました。元のExcelを開いて自分で探すこともできます。
最初は、関心のある分野を一つ選ぶ
最初から約7.6万件を順に読む必要はありません。たとえば、次の順番で見ると候補を絞りやすくなります。
- 手続名を、関心のある業界や分野の言葉で検索する。
- 手続主体を見て、誰が申請する手続なのかを確認する。
- 年間件数、オンライン化状況、添付書類などを横に並べて比較する。
- 気になる手続の根拠法令や申請先を手がかりに、現在の公式案内を調べる。
「建設業を扱うか」という大きな選択だけでなく、「その分野のどの手続を、もう少し調べてみるか」まで具体化できるのが、この見方の利点です。
調査時点と現在の状況を分けて読む
今回の商品に使った令和7年度調査は、令和7年11月1日時点の状況を基本とする調査です。デジタル庁の公表日は2026年8月26日、商品Excelに記載したデータ取得日は2026年9月8日です。
年間手続件数は令和6年度を基本とし、一部に暦年・令和7年度の値や試算値が含まれます。「令和7年度版」という名称と、各手続の件数が対象とする期間は分けて読む必要があります。
2026年9月9日、この記事のデータと商品紹介を令和7年度版に更新しました。 調査時点以降に制度やオンライン対応が変わっている場合もあるため、気になる候補が見つかったら現在の公式案内を確認してください。デジタル庁の調査結果掲載ページ
業務候補を見るために2つの切り口で抽出した
今回は、民間事業者が申請する手続に着目し、オンライン化状況で二つに分けました。どちらも、広いデータから追加調査の候補を見つけるための条件です。
1. オンライン未実施の申請手続
一つ目は、民間事業者を手続主体に含み、オンライン化が「未実施」で、添付書類欄に記録がある申請等です。該当したのは4,354件でした。
その中から、具体名のある添付書類を含み、非オンラインの年間手続件数が記録されている902件を「優先候補」にまとめています。件数と添付書類数を組み合わせた独自の指標で並べ、書類をそろえる負担を調べたい手続から見られるようにしました。
ただし、全件シートの添付書類欄には「添付書類なし」という回答も含まれます。4,354件すべてが書類の多い手続という意味ではありません。また、優先候補の順位は収益性や受任のしやすさを評価した順位ではありません。
2. オンライン化済みだが利用率が低い手続
二つ目は、民間事業者を手続主体に含む申請等のうち、年間手続件数が1,000件以上で、オンライン化が「実施済」のものです。該当したのは1,077件でした。
さらに、その中でオンライン利用率が50%未満の531件を「優先候補」として分けています。全件シートには利用率50%以上の手続や、利用率を算出できない手続も入っています。
オンライン申請の仕組みがあっても、利用状況は手続ごとに違います。「なぜ利用が少ないのか」を調べる入口にはなりますが、利用率が低いだけで申請者が代行を求めているとは判断できません。
5,400件以上を横に並べると何が分かる?
二つの全件シートを合わせると、4,354件+1,077件=5,431件です。優先候補はそれぞれの全件シートの一部なので、重ねて数えていません。令和7年度調査では「一部実施済」の区分が廃止されており、対応する参考シートは列見出しのみです。
知っている業務でも、手続ごとの違いが見える
一覧を見れば知らない仕事ばかり出てくる、というわけではありません。自動車関係など、行政書士業務としてよく知られている手続も出てきます。
たとえば、オンライン化済みのExcelには、次のような記録があります。
| 手続名 | 年間手続件数(総数) | オンライン利用率 |
|---|---|---|
| 自動車の移転登録 | 約653万件 | 約3.5% |
| 自動車の保管場所証明の申請 | 約800万件 | 25.0% |
出典:デジタル庁「行政手続等の棚卸調査結果」(令和7年度調査)を当サイトが抽出・加工したExcel。手続IDは順に33627、2853。年間件数は令和6年度を基本とした概数で、利用率はオンライン件数を総数で割り、小数第1位に丸めています。元データの掲載先
どちらも自動車に関わる身近な手続ですが、調査上の利用率には差があります。こうして並べると、「同じ分野だからオンライン化や利用状況も同じ」とは限らないことが分かります。
ここから、自分が活動する地域ではどうか、申請する人はどこで困るのか、と追加で調べる対象を選べます。表の件数が、そのまま行政書士への依頼件数になるわけではありません。
空欄や関連士業の列にも、読み方がある
件数の空欄は、手続がない、需要がないという意味ではありません。オンライン件数が不明で利用率を出せないものもあるため、空欄を0%に置き換えると判断を誤ります。件数や利用率には概数・試算値も含まれます。
「関連士業」に行政書士が含まれる手続に絞ることもできます。ただ、この列だけで受任可否を決めることはできません。日行連も、他の法律で制限される業務は行えないと案内しています。行政書士の業務範囲
実際の受任可否、他士業との業務範囲の境界、報酬相場、競合、市場性は個別確認が必要です。 一覧は、気になる分野を見つけて追加調査するための地図として使ってください。
自分で行政手続を掘りたい人向けにExcelにまとめた
行政手続から業務候補を探すExcel資料
今回の抽出結果は、次の二つのExcelファイルとしてnoteで販売しています。
- 民間事業者向け_オンライン未実施_申請手続_令和7年度.xlsx
- 民間事業者向け_オンライン化済_低利用率手続_令和7年度.xlsx
合計5,400件超の全件シートに加え、優先候補、抽出条件・出典、府省庁別集計などを収録しています。まず候補を絞って見たい人は優先候補シート、広く比較したい人は全件シートから始められます。

行政書士に関連するものから見たい場合は、「関連士業」列のフィルターで「行政書士」を含む値に絞ります。他士業と併記されている行も対象にすると、候補を拾いやすくなります。

元の公開データは、自分で取得して加工することもできます。自分の条件で最初から集計したい人は、公式データから始める方法が合います。
この商品は、取得・抽出・整理にかかる手間を省き、一覧を眺めるところから始めたい人向けです。すでに調べる業務が一つに決まっていて、その手続の実務を学びたい段階なら、まずその業務の公式案内や専門資料を確認する方がよいでしょう。
収録内容、価格、販売条件はnoteの販売ページで確認できます。
出典と利用条件
この記事の抽出結果・表・商品Excelは、デジタル庁「行政手続等の棚卸調査結果」(令和7年度調査)をもとに、当サイト「行政書士開業のリアルガイド」が独自の条件で抽出・整理・加工したものです。デジタル庁が作成・販売・推奨する商品ではありません。
元データの利用条件は、デジタル庁のコピーライトポリシーに記載された公共データ利用規約(第1.0版)です。出典と加工主体を示して利用しています。公式情報・商品Excelの確認日:2026年9月9日。